ホルス神殿
私が好きなエジプトの神は、
古代エジプトの知恵を司る『トト神』、
生きた王の象徴『ホルス神』、
そして再生の女神・強き母・王座を守るものの象徴『イシス神』なのですが、
ここは、その『ホルス神』を祀る神殿です。
ハヤブサの頭を持ち、太陽と月の両目をもつとされています。
有名なシンボルである『ウジャトの目』は、ホルスの左目(月)のことだそうで、すべてを見通す知恵や、癒し・修復・再生の象徴です。
ルクソールの南、エドフという小さな町にある、ホルス神殿。
こちらは、歴代のファラオが増築を繰り返し、巨大になったカルナック神殿とは対照的に、神殿建築の基本に忠実に、シンプルで美しい造りが特徴です。
塔門には、ホルス神とその妻ハトホル女神の前で敵を討つ、プトレマイオス12世が描かれています。
ここでは年に一度、ホルス神とハトホル女神のための儀式が行われていたそうです。
これまた私が最初にエジプトに行きたいと思ったきっかけになった、デンデラの『ハトホル神殿』から神像を迎え、行われていた儀式だとか。
奥の至聖所には、復元された神輿があります。
これに乗って二人が出会うのです。
オシリスとイシスの子供として生まれたホルス。
父オシリスを暗殺したセトと争い、みごと仇を討った、その力と頭の良さに惹かれます。
そのため、わが家にはホルス神の像が7体ほど。
レリーフがとても好きで、エジプトを訪れる度に購入してしまいます。
コムオンボ神殿
この神殿には、二つの入口があります。
神殿の正面から向かって右半分は豊穣の神であるワニ神ソベク、左半分はハヤブサ神ホルスに捧げられている、世界でも珍しい二重構造の神殿です。
ここでの見どころのひとつは、こちらの壁画。
妊娠している女性の出産シーンや、メスなど医療器具が、壁画いっぱいに描かれています。
古代エジプトの医療が、いかに進んでいたかがわかりますね。
また、こちらも古代エジプトの文明がいかに優れた技術を持っていたかがわかる遺跡。
ナイル川の水が、井戸のように掘られた穴のどこまで来ているかがわかる装置、ナイロメーターです。
これを基準に、氾濫や渇水の予測をし、農作物への影響を判断していたようで、なんと、それをもとに税を計算していたとか。つまり、豊作が予想される時期には税は高く設定されていたのです。
なんと素晴らしい設備なのでしょう。社会としてのシステムがとても成熟していたことがうかがえますね。
そしてこちらの壁画では、トト神とホルス神がアンク(木)の精油を皇帝にかけています。
これは、永遠の命を意味し、皇帝の力の象徴でもあります。
このころからすでに、精油の作り方を示す壁画があるのです。精油は私のライフワークにも縁が深く、とても興味深いものでもあります。
こちらは、左の二人の女性に注目。
クレオパトラ二世と三世が描かれています。
珍しい医療の壁画を始めとして、とても見どころの多い神殿です。
ぜひ訪れてみて下さい。
次回はいよいよ、私の大好きなイシス神殿があるアスワン地区へ!
お楽しみに!